研究
地磁気は地球中心核における対流で生成されており、地磁気の逆転頻度には1億年スケールの変化が知られている。一説によればこの変化は核とマントルとの間の熱のやり取りを反映していると考えられており、熱のやり取りは地表の超大陸の離合集散に関連すると考えられている。一方で、大陸の移動は連続的に変化しているにもかかわらず地磁気の逆転タイミングは統計的にはほとんどランダムであり、地表から地球中心核に至る関連性が本当に存在するのかは定かではない。過去30年ほどの間に、海底堆積物から連続的に地磁気の強度を復元する研究が数多くなされてきた。そして、過去100万年程度の連続記録は比較的よく得られている。この時間スケールではマントルの変化はほとんどないため、純粋に核の中の流れの様子の研究に役立てられている。この方向の研究としては、より高解像度な記録の取得が世界的なトレンドであって、冒頭に述べたような長期変化はあまり扱われていない。我々は発想を転換して、低解像度で構わないので長期間の連続磁気強度記録を得て、大陸移動やマントル対流と核の活動との関連性を新たなデータから検討することを目指している。低解像度(低堆積速度)の堆積物としては遠洋深海粘土をターゲットとしている。この種の堆積物はレアアース資源や長期的な古環境・古海洋記録としても注目されており、こういった方面の研究者と共同研究を行っている。
細胞内に磁鉄鉱 (Fe3O4) の結晶を作るバクテリア、磁性細菌の存在は 1960年代に報告された。生物が作る鉱物の例にもれず、磁性細菌が作る磁鉄鉱も大きさや形が良くコントロールされており、だいたい 50 nm 程度である。面白いことにこの大きさは磁鉄鉱の磁石としての効率を最大化する大きさなので、磁気的な方法によって細菌由来の磁鉄鉱を検出・定量することが可能である。
磁鉄鉱は化学的に安定な鉱物なので、磁性細菌の活動は鉄の元素循環に寄与している可能性がある。しかし、地球上にどのくらい磁性細菌がいるかはよく分からない。その大きな理由は、莫大な面積をもつ遠洋での存在量が分からないからである。最近20年あまりで発達した高速磁気測定技術によって、遠洋域の堆積物に大量の細菌由来の磁鉄鉱が含まれていることが分かってきた。とはいえ、その磁鉄鉱が何年間かけて堆積したのか、どこで(水中・海底・地下)作られたのかと言ったことはまだよくわかっていない。さらに、地球史の中でいつから遠洋域に磁性細菌がいたかも分からない。我々は遠洋域の堆積物の磁気測定と年代決定、陸上に残される過去の海底の分析と、生物学的な方法(タンパク質分析など)を合わせて、磁性細菌の時空間分布と、それをコントロールする環境因子を調べている。
資源・防災への貢献